本実験で作成するインタプリタプログラムは,以下の 5 つのファイルから構成される.
-
syntax.ml
- このファイルでは,抽象構文木のデータ構造(つまり抽象
構文)を定義している.抽象構文木は構文解析の出力であり,解釈部の入力
なので,インタプリタの全ての部分が,この定義に(直接/間接的に)依存す
る.
- parser.mly
- C 言語に yacc や bison といった構文解析プログラム
生成ツールがあるように,Objective Caml にも ocamlyacc というツールがあり,
.mly という拡張子のファイルに記述された文法定義から,構文解析プロ
グラムを生成する.文法定義の仕方は yacc と似ている.
- lexer.mll
- C 言語に lex, flex といった字句解析プログラム生成ツー
ルがあるように,Objective Caml にも ocamllex というツールがあり,.mll と
いう拡張子のファイルに定義されたトークンとなる文字列のパターン定義か
ら,字句解析プログラムを生成する.パターンの定義の仕方は lex と似て
いる.
- core.ml
- 解釈部プログラムである.
- main.ml
- 字句解析・構文解析・解釈部を組み合わせて,インタプリ
タ全体を機能させる.プログラム全体の開始部分でもある.
最初に扱う mini Scheme1 インタプリタのための5つのファイルに加え,インタプ
リタをコンパイルするための Makefile を http://www.sato.kuis.kyoto-u.ac.jp/~igarashi/class/isle4/src/に置い
てある.これら 6 つのファイルを同じディレクトリに保存し,
どれかひとつの .ml ファイルを Emacs に読み込む.
そのバッファで C-c C-c とすると,コンパイルのコマンドを聞かれるので,
make depend とする.この作業は初回のみ(正確にはファイルが
増えたときのみ)行えばよい.次に,C-c C-c make -k とする.
すると,ソースファイルのあるディレクトリに
scm という実行形式ファイルが生成される.(M-x shell でシェルモードに
入って) scm を起動すると => というプロンプトが現れるので,
mini Schemeプログラムを打つと結果が表示される.
> scm
⇒ x
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⇒ (+ x 3)
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ソースを変更したあとは,C-c C-c make -k でコンパイルすることにな
る.コンパイル時にエラーが発生した場合は M-x next-error とすることで,
エラーの発生した場所にカーソルが移動する.
実行可能ファイルとなった Objective Caml プログラムをデバッグするには
ocamldebug を使用する方法(Objective Camlマニュアル16章参照)と,インタラクティ
ブコンパイラ ocaml にプログラムを構成する各モジュールをロードして,
テストする方法がある.ocaml を起動する際に
ocaml -I<モジュールのあるディレクトリのパス> foo.cmo bar.cmo ...
のようにオブジェクトファイルを指定すると,Foo, Bar という
モジュールが利用できるようになるので,トップレベルでテストする
ことが可能になる.