Tue 14 June 2016, 13:00–15:00
理学部7号館102
Room 102, School of Science Bldg. No. 7
Tetsuya Sato (RIMS, Kyoto University), 差分プライバシーの圏論的特徴づけと、その検証
差分プライバシー[Dwork, ICALP 2006]は、確率的プログラムで与えられたデータベース・クエリーに関するプライバシー保護の定義/基準で、背景知識攻撃に対する安全性を数学的に保証するという特長を持ち、近年でも盛んに研究されている。
Bartheによる Approximate Relational Hoare Logic (apRHL) [Barthe et al., POPL 2012]は、クエリーの差分プライバシーを形式的に検証するための枠組みで、差分プライバシーの概念を、圏Set上の確率分布モナドのパラメトリックな二項関係持ち上げによって与えるというアイデアに基づいて構成されている。
本講演で紹介する Continuous apRHL はapRHLの測度論的拡張と呼ぶべきもので、連続分布型の確率的プログラムであるクエリーの差分プライバシーの検証を可能とする。構成はまず、クエリーの差分プライバシーを、Giryモナドのgradedな二項関係持ち上げによって特徴づけ、それらでjudgementの解釈を与え直すことでapRHLを拡張するという流れである。[Sato, MFPS 2016] 可能であれば、これからの発展などについてもお話ししたい。